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老後はもはや無い - 「The Economist / June 27th 2009」

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「少子高齢化」って、もはやひとつの熟語と化している感がありますね。
先週のエコノミスト誌では、高齢化と少子化による定年制度の崩壊が特集されていました。

*「ヒューズは焼き切れ寸前〜高齢化特集」
A slow-burning fuse  A special report on ageing populations」(Economist.com

以前から議論されている内容ですが、養われる人が増えるのに養う人が少なくなること、またそれによって、現状の定年制度や引退制度が限界にきていることがクローズアップされています。

日本の事情も取り上げられていて、特に高齢者市場に大きな期待が寄せられていること、しかし単純な宣伝や取り組み方では上手く行かないことなどが述べられています。巣鴨のマクドナルドは高齢者対応で有名ですが、海外の雑誌で取り上げられているとは思いませんでした。

様々な観点から現状について述べられているのですが、特に個人的に気になったのは、特集内で提示されているグラフです。

例えば「And much more to come(特集内P.9)」というOECD由来のグラフを見てみます。これは、健康・医療福祉に対してGDPからどの程度の割合を投じているかを表したものです。

これを見ると日本人の推定寿命は82.4歳で最も高いのですが、それを支える健康・医療福祉分野への投資はGDPの7パーセント程度で、首位のアメリカ(推定寿命77.8歳)の15%と比較して半分です。

アメリカは不十分な社会医療保険制度(高齢者向けのメディケア、低所得者向けのメディケイド)を提供するだけでもその負担が酷いことになっていることが伺えますが、オバマ大統領が医療改革に乗り出してコスト削減に取り組むようですから、また事情が変わってくるかもしれませんね。

まあアメリカは置くにしても、OECD平均で推定寿命が78.9歳、GDP比は9%くらいを医療・健康福祉に充てているのに、日本はそれより低い投資しかしていないわけで、残された人生を安心して暮らせるかどうか大いに不安になってくるものです。

OECDのデータを見てみる

他にも、年金の価値に関するグラフ等を見ても、日本の状況が他と比べて芳しく無いように見えます。今回の記事のデータ元のひとつであるOECDの調査ページを見てみると、指標値がダウンロードできるページがあります。知らなかった…。

*「図表で見る社会2009 OECD社会指標」
Society at a Glance – OECD Social Indicators」(OECD

特に、日本に関する調査結果のPDFを見ることもできます。

*「OECD図表で見る社会2009 OECD社会指標 日本に関する調査結果

これを見ると、寿命、レジャー、睡眠、犯罪、乳児死亡率、肥満に関する比較が簡単に説明されています。

日本人は寿命は最も長いけれども、自己申告による健康状態はスロバキアに次いで低いそうで、なんでしょう、心的なストレスが多い国ということなんでしょうか。前述したような社会的なケア不足からくる不安感もその原因のひとつになるのかもしれません。

関連ページで、先ほどのヘルスケア関係の調査結果サマリも以下から見られます。

*「ヘルスケアに関する支出」
Health care expenditure」(OECD

さきほどはGDP比でしたが、ここではNNI(純国民所得)比です。OECD諸国全体では、ヘルスケア支出は増加傾向にあるようですね。それは人口構成の傾向からも当然だと思いますが、その内訳(特にアメリカ)を見てみると、また難しい問題があります。

OECD_HE8_E

Excelファイルをダウンロードしてグラフをキャプチャしたので見づらいですが、一番上がアメリカ、下から12番目に日本があります。薄い青が個人加入の保険、濃い青が公的な社会保険です。

日米で両者の割合を比較してみると、日本が殆ど社会保険で賄われているのに対して、アメリカの社会保険の割合が半分にも達していないことが分かります。
こう見ると、日本はアメリカの後追いをする必要は全く無いように思えるのですが、先ほど見たようにコスト圧迫がこれから大きくなって行くことを鑑みると、単純に現状維持という訳にもいかないでしょう。

高年齢化が進む以上、若い世代に頼って悠々と年金暮らしするという生活は、私たちには望み薄です。まぁ最近の65歳だって、私なんかより全然エネルギッシュで活動的ですから(←ひきこもり)、ガンガン働いて頂いた方がお互いの為のような気もします。

最近はとりあえず65歳が定年になりつつありますが、私たちが65歳になるころには、当然のように働き続けられる仕組みを備えた社会になっていると良いですね。

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英国Economist誌(Fujisan.co.jp)

Written by nen

July 6th, 2009 at 8:00 P

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